小さな街の小さなライブハウス。
今はもう寂れてしまった建物。
大物バンドの始まりも趣味バンドの終わりも、いつでもこの場所は見守っていた。
そして彼等は、その場所に存在”していた”。

 

Heat:0話
始まりはこの場所で

 

AKIO:SIDE

自己を伝えたい。
偽者ばかりの世界を切り捨てたい。
そのために・・・
『お前の奥に溜め込んだ音。俺に貸す気はないか?』
『楽しめるさ。お前にその気があればな』
『俺達と一緒に歌わないか』
『熱くなれるさ。きっとお前となら』
最高の夜を創り上げるために。


TAKESHI:SIDE

ノリが悪ぃ。
こんなのじゃ満足できない。
響かない。熱くない。
俺に音を出させてくれ!
『お前の奥に溜め込んだ音。俺に貸す気はないか?』
面白い。
付き合ってやるぜ。


KAZUTOSHI:SIDE

楽しいけど何か足りない。
もう一味。
『楽しめるさ。お前にその気があればな』
お、なかなか言うねぇ。
やって見せましょうじゃないか。


KAHO:SIDE

歌が好き。
声を思いっきり出した時の昂揚感は最高。
でも一人で歌うのは嫌い。
寂しさに、心が凍えそうになるから。
『俺達と一緒に歌わないか。』
やっと出会えたのかもしれない。
最高の仲間に。


HOROSHI:SIDE

無気力。無感動。
そんな生活の中で最高の潤いになっていたドラム。
強制が溢れる世の中で、唯一僕を癒してくれた。
叩きたい。もっと、強く、熱く。
『熱くなれるさ。きっとお前となら』


SIDE:0

惹かれ合い集まった5人。
心の飢え、傷、虚しさ、渇望。
癒しあうように魂を繋ぐ。
何が見えるかまだ分からない。
だが、最高の夜へのカウントダウン確かに始まっていた。